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法務で生成AIを使い分ける、Generative AI Toolkitという考え方
生成AIを法務で使う、というと、まずChatGPTのようなチャット画面を思い浮かべるかもしれません。
LegalTech Media編集部
編集部

生成AIを法務で使う、というと、まずChatGPTのようなチャット画面を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、質問に答えてくれるAIは便利です。ただ、法律実務で本当に必要になるのは、ひとつの万能ツールではなく、リサーチ、要約、契約レビュー、ドラフト、ナレッジ検索、資料分析といった作業ごとに使い分けられる道具の組み合わせです。
LegalTech Hubの「Generative AI Toolkit」は、まさにこの見方に近いカテゴリです。生成AIを単体の流行技術として見るのではなく、法律実務のさまざまなプロセスに組み込まれるツール群として捉えています[1]。
Generative AI Toolkitとは
Generative AI Toolkitは、法律業務で使われる生成AI関連ツールをまとめて捉えるためのカテゴリです。
LegalTech Hubは、ChatGPTの登場以降、法律業界でも大規模言語モデルと生成AIへの関心が急速に高まったことを背景に、この領域のコンテンツやソリューションを整理しています[1]。
ここで重要なのは、「AIが法律家の代わりに答えを出す」という話ではないことです。むしろ、法律家が判断する前に、資料を読み、論点を整理し、ドラフトのたたき台を作り、過去の知見を探す。その前処理をどこまでAIに任せるか、という話です。
どのようなサービスがあるか
Generative AI Toolkitには、いくつかのタイプがあります。
ひとつは、リーガルリサーチ支援です。法令、判例、実務資料を調べる際に、質問への回答、関連資料の提示、論点整理を支援します。
次に、文書分析・要約です。長い契約書、訴訟資料、デューデリジェンス資料、社内規程を読み込み、重要箇所やリスクを整理します。
さらに、ドラフト支援もあります。契約条項、メール、メモ、依頼者向け説明文、社内報告のたたき台を作成する使い方です。
最近は、これらを単独機能としてではなく、Word、DMS、契約管理、ナレッジ管理、Microsoft 365など既存の業務環境に組み込む流れが強くなっています。
海外の代表的なプロダクト
代表例のひとつがHarveyです。Harveyは、法律事務所や企業法務向けのAIプラットフォームで、法務リサーチ、デューデリジェンス、契約分析、複雑なワークフローなどを対象領域として掲げています[2]。個人のチャットツールというより、組織的な法務作業の基盤として使う方向性が特徴です。
Thomson ReutersのCoCounsel Legalも重要です。CoCounselは、法務リサーチ、ドラフト、文書分析を支援するAIで、Thomson Reutersの法情報や実務コンテンツと結びつく点に強みがあります[3]。汎用AIではなく、信頼できる法律情報基盤の上でAIを使う発想です。
vLexのVincent AIは、リーガルリサーチ寄りの生成AIです。vLexの法情報データベースとAIを組み合わせ、法律調査、文書分析、訴訟準備などを支援します[4]。生成AIの回答だけでなく、根拠となる法情報に接続されていることがポイントです。
どのようなときに導入を考えるのか
導入を考えるべきなのは、「AIで何かしたい」と感じたときではなく、法務作業の中で読む・探す・まとめる作業が明らかに重くなっているときです。
たとえば、契約書や相談資料の量が増え、担当者が最初の読み込みに時間を取られている。過去の案件や社内基準を探すのに時間がかかる。海外資料や英文契約を理解するための下準備が多い。こうした場面では、生成AIを使って一次整理を軽くする効果が出やすいです。
一方で、導入時には「AIに任せる作業」と「人が判断する作業」を分ける必要があります。生成AIは、要約や論点の洗い出しには向いていますが、最終的な法的判断、重要な交渉方針、対外文書の確定には人のレビューが必要です。
日本の類似プロダクト
日本でも、法務向け生成AIサービスは増えています。
LegalOnアシスタントは、契約書に関する質問への回答、文言修正、論点リスト生成、重要条項の要約などを行うリーガルAIアシスタントとして提供されています[5]。契約業務の中で、文書に即した確認や修正文案作成を支援する位置づけです。
MNTSQ AI契約アシスタントは、契約書レビューや日常的な契約確認を支援するAIサービスです。契約書を解析し、判断に必要な論点を整理・構造化して提示すると説明されています[6]。
GVA TECHのOLGAは、法務案件の依頼受付、案件・契約管理、ナレッジ活用を自動化する法務オートメーションとして展開されています[7]。生成AI単体というより、法務業務の入口から管理までをつなぐ考え方に近いサービスです。
まとめ
Generative AI Toolkitは、生成AIを「ひとつの便利なチャット」としてではなく、法務作業を支える道具箱として見る考え方です。
法律実務には、読む、探す、比べる、まとめる、書く、確認するという作業が大量にあります。そのすべてをAIに任せる必要はありませんが、人が判断する前の準備作業を軽くする余地は大きいはずです。
重要なのは、最初から全業務をAI化しようとしないことです。まずは、契約書の要約、過去ナレッジ検索、英文資料の理解補助、レビュー観点の洗い出しなど、効果が見えやすく、人が確認しやすい領域から始める。
生成AIは、法律家の代わりになるものではありません。ただ、法務の仕事を進めるための道具箱として設計できれば、日々の作業の負荷を大きく変える可能性があります。
参考
[1]LegalTech Hub「Generative AI Toolkit」
[2]Harvey
[3]Thomson Reuters「CoCounsel Legal」
[4]vLex「Vincent AI」
[5]LegalOn Technologies「LegalOnアシスタント」
[6]MNTSQ「AI契約アシスタント」
[7]GVA TECH「OLGA」
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